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似た薬の名前が多すぎ!薬剤師の調剤ミスは製薬会社もとるべき?【法律相談】

医薬品のなかにはお薬の名前が似ているものが多く存在します。
そして現場の薬剤師は間違えそうになる事がしばしばあります。私は薬剤師ですが、似ている薬の名前があれば製薬会社の担当に名称変更してもらえないか何度もお願いしているのですがなかなか聞き入れてもらえません。
 
製薬会社側も似ている薬の名前がある事は把握しているはずですし、多くの現場から変更希望の声がある事も知っているはずなのに・・です。薬の名前が似ているせいで薬剤師の調剤ミスで患者さんに投薬してしまい健康被害が起きてしまった場合、薬剤師の責任である事はもちろんですが、製薬会社にも責任を問う事はできないのでしょうか?
 
薬剤師も人間です。あまりに似たお薬ばかりですと覚えるのに苦労します。
似た薬の名前の場合、薬剤師の責任が軽減するなんて事にはならないのですか?

薬の名前と薬剤師の過失は別問題です

薬剤師が処方箋と異なる薬を調剤ミスしてしまい、患者に健康被害が生じれば薬剤師に過失があると認められ、患者に対し法的責任を問われ、損害賠償請求を負う事になります

その過失の理由がたとえ似た薬の名前だったとしても、調剤ミスは調剤ミスであり薬の名前を理由にするのとは別問題となります。

とはいえ、似た名前のお薬が多く取り扱われているのは事実ですし、例えば副腎皮質ホルモンの「サクシゾン」と筋弛緩薬「サクシン」は名称がとても似ていますね。

 

そして、このお薬の取り違いが原因で過去に死亡事故が発生した事例も実際にあります。

もしも調剤ミスのまま投薬してしまったお薬が、患者さんにとって併用禁忌薬であった場合は命に関わる危険があるためこのような類似名称医薬品への扱いは薬剤師が調剤ミスがないよう責任を持って行い、しっかりと対策をとる必要があります。
 

製薬会社に責任を問う事はできるのか?

調剤ミスがあった場合に薬剤師が責任を問われるのですが、では類似名称医薬品を取り扱っている製薬会社に責任を問う事はできないのか?

という事で、これは似ているか似ていないかという判断は客観視点でしか判断する事が難しいですし、個人差が出てくるものであり「似ている」というあくまでも感覚的な印象でしか判断する事ができない部分ですので、膨大な数のお薬に対して類似名称医薬品を振り分ける事は難しいと思います。

 

また、名称が似ているからといって必ずしも取り違えが起きるかといえばそうではなく、薬剤師の個別の注意力によるものとしか言えません

そのような理由もあり、名称が似ているからといって問題が起きた際に製薬会社に対して損害賠償請求をする事は難しいと考えられます。

 

そもそも、薬剤師は名称だけで医薬品を判断するわけではなく、どの病状にはどのような薬が適切か?といったような根拠と知識を元に調剤する事が薬剤師の本来の役割ですので、似た薬の名前を調剤ミスの言い訳にはできません

また、薬剤師の調剤ミスによって患者さんに健康被害が起きてしまった事には変わりありませんので、似た薬の名前であるという事が薬剤師の責任を軽減する理由にもなりません。
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類似薬による事故を未然に防ぐには

似ている商品で間違いが起きやすいのはお薬に限った事ではありませんが、命に関わるものである以上、「気をつける」というだけの対策では未然に事故を防ぐ事はできません。

薬剤師としては、類似名称医薬品の存在について予め意識しておくべきであり、それを周知徹底する事が重要となります。

事故を未然に防ぐために、客観的に分析された書籍である「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析」などを一読しておくとよいでしょう。

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そして製薬会社にも名称変更を促す姿勢も続けて行っていくべきと思います。
ただ、製薬会社に連絡したとしてもどうしても名称変更までしてもらえない事の方が多いかと思います。

この事業に登録し、類似名称医薬品において取り違えでヒヤリとした事例を報告する事により、客観的なデータとして製薬会社へアピールする事も一つの有効な方法であるといえますし、データを各薬局で共有する事もできますので今後の調剤ミスの予防に繋がります。

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