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調剤過誤が裁判にまでへ発展したら?【法律相談】

薬局を経営しています。
当局で勤務している薬剤師が調剤過誤をしたため、患者さんに健康被害が出てしまいました。その後、患者さんには誠意をもって謝罪し、納得してもらえるよう話し合いを続けてきたつもりでした。
 
しかし、しばらくして突然裁判所から連絡がきて薬歴などの証拠保全手続きが行われました。患者さんの弁護士によると、今後、損害賠償請求の裁判を予定しているとのことでした。このように本当に裁判になるとしたら、薬局としてはどのように構えるべきでしょうか?

調剤過誤による一般的な解決方法

薬剤師が調剤過誤をしてしまい、患者に健康被害が起こってしまえば、その薬剤師は患者に対して民事責任を負う事になります
そして、患者と話し合いをする事によって示談が成立することもあります。

 

しかし、過失の責任問題において平行線であったり損害額で意見が合わなかったりすると、示談では解決できない事もあります。そうなってしまえば、民事訴訟などの法的手続きで解決する事になります。

裁判所に対し、患者側と薬局側がそれぞれ因果関係や過失、損害の有無などについて主張立証し、そのうえで裁判所が損害賠償請求権の有無と金額を判断する事になります。

薬局に対する証拠保全とは?

患者からの申し立てにより、裁判所が薬歴などの重要書類の改ざんが行われないよう確保するための手続きになります。

通常は訴えの提訴前に行われます。裁判所からの連絡があり、薬歴などのコピーを持って行く事で証拠保全をします。

この証拠内容をもとに患者側で検討し、最終的に訴えの提起をするかどうか判断材料にする事になります。

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民事訴訟のおおまかな流れ

患者が調剤過誤をした薬局に対し損害賠償を求めるのであれば、患者が裁判所に訴状を提出し訴えを提起する事になります。

患者の訴えが提起されると裁判所から第1回の口頭弁論期日が指定されます。

被告である薬局には送達という特殊な郵便によって「訴状」と「第1回口頭弁論期日呼出状及び催促状」が送付され、この書類に答弁書の提出と法定出頭の指示が出されます。

 

裁判所で開かれる第1回口頭弁論では、原告である患者の訴状の陳述と被告の答弁書の陳述が行われます。

もしも被告が答弁書の提出もせず、口頭弁論を欠席してしまうと「欠席判決」という原告の請求どおりの判決が第1回にされてしまう場合があるので注意が必要です。

 

なお、答弁書を提出していれば、第1回口頭弁論に出頭しなくても擬制陳述といって、答弁書に陳述したことにできます。

少なくとも第1回口頭弁論期日前には適切な内容の答弁書を提出しておくことが大事です。

第1回口頭弁論の後は、期日を重ねて原告、被告ともに主張するための準備書面を提出し、適時に証拠の提出も行っていきます。

 

場合によっては弁論準備手続きや、必要に応じて専門家の意見を聞く「鑑定」なども行う場合もあります。

裁判所はそれぞれの提出した証拠を書面による証拠から調べ始めます。そして、立証が不十分な部分を人証によって調べます。
人証とは、証人や原告、被告本人を尋問によって調べることです。

調剤の事例であれば患者本人や調剤に関わった薬剤師などの尋問が行われる場合が多いです。

結審後、裁判所が主張と立証に基づいて判決を言い渡します。

その後、第一審の判決に不服がある場合の当事者は上級裁判所に控訴(新たな判決を求める不服申立て)を提起することができます。

訴訟の途中での和解もある

民事訴訟が起きたからといって、必ず判決が出るまで解決しないわけではなく、審理を進めていった過程において裁判官が双方の主張や証拠書類を吟味して円満な解決を目指すため、双方に譲歩を促し和解が成立する事があります。

このように、裁判の多くは、判決よりも和解で解決している事が多いようです。

 

裁判は、どうしても多くの時間と労力、そして金銭的な負担がかかってきます。

調剤過誤をどうしても許せないという気持ちがあるからこその裁判ですが、示談にて解決する事は一番の近道ともいえます。
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