お薬豆知識

大病院が新薬を処方してくれない事情とは?

「新しい糖尿病のお薬を大学病院で処方してもらえなかったのですが・・」

糖尿病の権威である大学教授が、テレビの健康番組で画期的な新薬を紹介する事が多くなり始めた頃から、このような外来で来られる患者さんが増えました。

実は大学病院や地域の基幹病院と言われる大きな病院ほど、新薬を処方しにくい事情があるためです。

 

その事情というのは、厚生労働省の告示によって病院での薬の処方日数が定められているためです。

新約以外の薬の処方日数は2002年に原則廃止になりましたが「新薬の上限は14日分」であり、薬価収載(新薬が薬価基準に収載され、健康保険が適用される)後1年間はこの制限に縛られます。

では、なぜ新薬は14日分と処方上限が定められているのでしょうか?

新薬は14日分と処方上限が定められている理由

新薬が14日分と処方上限が定められている理由は、治験を通して安全性を確認した薬でも、その効果や副作用を臨床現場で的確に判断したいからです。そのためには医師が2週間に1回は患者さんの病状を診察するように、との厚生労働省の意向があるからと考えられています。

大学病院を受診する患者さんの多くは、時間を掛けて通院し、長時間待たされたあげくようやく診察を受けるような方が殆どです。

 

処方箋をもらうためだけに、2週間に1回の通院を強いてしまっては患者さんにとっての負担が多き過ぎます。

また、病院側も1日に診察を受ける患者さんが多くなり、専門的な診察に支障をきたすことも懸念されます。そのような理由により大きな病院ほど、新薬を処方しずらいという現状があるのです。

中小病院や開業院の場合の制限

この処方制限についてはもちろん開業医や中小病院にも適用されていますが、これらの病院は患者さんの「かかりつけ医」である場合が多く、1度の処方が上限14日分であったとしても、大病院ほど大きな問題にはならないからです。

とはいえ、臨床現場で働く医師としては、患者さんの再診料などの医療費負担や通院にかかる費用、時間の負担などを考慮して、14日分しか出せない新薬の処方を断念する場合もあります。

新薬の効果を多くの患者さんに享受してもらうためには、処方上限を延ばしたりリスクの高いお薬について個別に処方制限を設けるなどの改正が必要だと考えられています。