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薬剤師の有給休暇の時期変更は可能でしょうか?【法律相談】

私の経営する薬局では、法律に従って有給休暇制度を設けています。

先日、薬剤師の1人が薬局にとって一番忙しい時期にも関わらず「休暇を連続して5日間取得したい」と前日になって言い出しました。
 
通常は休暇申請の期限等は特に決めておらず、薬局の運営に支障がない範囲で、事前に状況を見て申請してもらい有給休暇をとってもらっていますが、今の時期に5日間も薬剤師に仕事を休まれてしまえば薬局の運営に支障が出てしまいます。
 
この薬剤師の申請する有給休暇を別の日に替えてもらいたいのですが、法律的にどのように対処するのが適切なのでしょうか?

有給休暇制度について

有給休暇は労働者の権利として法律で認められています。

労働者が有給休暇を取得するにあたり、その旨を日時とともに使用者に通告すれば有給休暇の取得が可能でありその際に休暇の理由を伝えたり許可や承認をもらう必要はありません。
 
原則として、労働者が申し出た時点で有給休暇を取る事が可能です
それがたとえ前日の申請であってもです。

このように労働者が時期に関わらず有給休暇を取得する権利の事を「時季指定権」といいます。

使用者には有給休暇の時期変更ができる権利がある

労働者から時期の考慮がない有給休暇の取得希望が出たからといって、常にその希望を受け入れなければならないかというとそうでもありません。

労働者の「時季指定権」に対し、使用者には「時季変更権」という権利がありますので、申請された有給休暇の時期を変更する権利があります

しかし、その変更権は全ての場合で認められるわけではなく薬局側にとって「事業の正常な運営を妨げる事情」とならない限り権利を行使できません。

 

この「事業の正常な運営を妨げる事情」という意味は労働者の担当業務が薬局の運営にとって不可欠であり、かつ代替要員を確保する事が困難であるという事をいいます。

そのため、使用者が労働者の代替要員を手配するなどの努力がないうえでの時期変更権の行使は認められません。

長期休暇の場合は事前調整が必要となるため、使用者には時期変更権の行使が認められやすくなります。

有給休暇が時期変更となったにも関わらず欠勤した場合は?

仮に、使用者が時季変更権を適切に行使し薬剤師もそれを受諾したにも関わらず欠勤した場合には業務命令違反があったとし、賃金カットや懲戒処分が行われる事も考えられます。

薬局の場合、1人だけでも休んでしまうと影響が大きい場合があります。

そのため、就業規則などで有給休暇を取得する場合の申請期限などを定めておく事で薬局業務の支障を防ぐ事ができ、従業員にとっても休暇時期を変更される可能性が低くなるため合理的な対処法といえます。

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