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処方箋をFAXしたきり薬局に来ない患者さん。代金は請求できるの?【法律相談】

患者さんの中に、事前にFAXで処方箋を送ってくる方がいます。
患者さんをなるべく待たせないよう、不足している薬があれば取り寄せたり薬剤の調製をするなどFAXに基づいて事前に用意しておきますが、まれにFAXを送ってきたきり薬を取りに来ない方がいます。

このような場合、代金や調製にかかった費用などを患者に請求する事は可能なのでしょうか?

FAX用紙の処方箋では調剤契約は成り立ちません

FAXで送ってきた処方箋に沿って調製するというのは、あくまでも調剤の前提行為と考えられます。
調剤契約をスムーズにするための準備でしかないという事です。

処方箋は原本がなければお薬の交付は法律上不可能であるため、それをスムーズにするための手段によって不利益が生じたとしても薬局から来患者さんに対して、調剤契約に基づいて代金を請求することはできません

 

また、契約締結上の過失として損害賠償請求が可能な場合もありますが、費用全額の賠償を受けることは困難であり実際の賠償金は低額である場合が多いですし、患者さんとの今後の関係性の維持が困難だったり、このようなトラブルがあったと他の患者さんの耳に入ったなどすれば、薬局全体の評判も脅かしかねません。

FAXで処方箋情報を事前に受け取るなら

薬局側として、FAXが送られてきた時点では患者さんが来局するかどうかが分からない場合には患者さんに直接連絡を取って来局日の予定を確認し、来局日の何時頃に来られるか電話をしたうえで準備をする方が、お互いのメリットにもなりますし、今回のケースのような事になりにくいかと思います。

調剤準備の手間に対して本当に請求はできないのか?

契約が成立していない場合でも「契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とする損害賠償責任」を認める「契約締結上の過失」という概念があります。

これは、当事者の一方が理由なく交渉を打ち切り、それにより相手方の契約成立の期待を裏切り、相手方に無用の出費をさせたような場合にその出費を補填すべきであるとする考え方です。

 

状況によりますが、この理論によってなんらかの損害賠償請求が認められる可能性はあります。
慰謝料のようなものですね。

しかし、今回のようなケースでは被害額が多くない事の方が多いと思いますので、現実的な解決方法としては適当でないと思います。

薬局側にリスクなくできる待ち時間短縮方法は?

通常は患者さんが処方箋の原本を持参し、薬局へ来局されて交付が成立するのですが、これは患者さんを待たせるかもしれませんが確実に交付できる一番の方法なのです。

しかし、待たせるということは患者さんにとっては不利益な事ですし出来るだけ待ち時間短縮方法を取り入れたほうがいい事には変わりありません。

 

薬局としてFAXなどで待ち時間短縮を図るのであれば、それを希望する患者さんにのみ薬局独自のサービスとして提供し、それに伴い事前に費用を頂く等の手段を取り入れた方が、薬局としてのリクスは軽減されるのではないかと思います。

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