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鑑査とピッキングはどちらの責任の方が重い?【法律相談】

私が薬の取り違えを起こしてしまったために、患者さんに健康被害が発生してしまいました。
その事について自分に過失があると認め、もちろん反省もしています。
 
しかし、調剤薬を鑑査し誤調剤を見逃した薬剤師にも法的責任を問われるべきだと思いますがどうなのでしょうか?
また、こういった場合どちらの責任の方が重いのでしょうか?

どちらも患者に対して損害賠償責任を負います

ピッキングした薬剤師、鑑査した薬剤師のいずれも刑事責任および行政責任を問われる可能性があり、どちらの薬剤師も不真正連帯債務の関係になり患者から損害額の全額を請求される可能性があります。(民法第719条)

処方箋に基づいて調剤するにあたり特に処方内容に疑義がなければ、ピッキングする薬剤師は処方箋どおりにピッキングをする義務があり、鑑査する薬剤師は処方箋どおりにピッキングされているか確認し、間違っていればそれを正す義務があります。

 

どちらも免許を持つ薬剤師の仕事なので全うしなければいけません。

それにも関わらず、間違った投薬をしてしまえば義務を怠ったとされ、それぞれの薬剤師には過失があったと認められます。
2つの過失によって患者に健康被害が発生したからです。なお、この場合2人の薬剤師だけでなく薬局開設者も使用者責任(民法第715条)または契約責任(民法415条)によって責任を負うと考えられます。

不真正連帯債務という関係における損害金の割合について

不真正連帯債務というのは、患者が両方の薬剤師に対しても損害金の全額を請求できるという事です。

例えば、損害金が100万円だったとすると患者はピッキングした薬剤師に100万円、鑑査した薬剤師に100万円請求できます。

これは患者が両薬剤師に対して損害額の全額を請求できるという事になりますが、内部の薬剤師同士の問題とはまた別です。

損害額の支払いを終えた後にそれぞれが負担すべき額を求償する事ができます。(民法第442条第1項)とはいえ、どちらの責任が重く、どの程度請求できるかは薬局内での業務の流れや取り違えの内容などによって様々ですが、原則としてはいずれにも責任があるとして半々と考えるのが妥当です。

調剤印がある場合とない場合

調剤印を押していなかったためピッキングをした薬剤師が誰か判明しない場合には、誰かわからないのですから鑑査した薬剤師にしか責任を問えない事になります。
ピッキングをした薬剤師が調剤印によって誰なのか明らかになっていれば、患者は両薬剤師にも損害賠償請求を行うことができます。

しかし、調剤印を押し忘れるような体制である事がそもそもの問題として、薬局全体の責任問題へと発展する可能性もあります。

責任の所在がはっきりするように調剤に関わった薬剤師は、必ず調剤印を押すなどして関わった業務を明らかにしておく必要があります。

hanko_natsuin

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