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お薬代を払わない患者に調剤拒否はできますか?【法律相談】

まれにですが、患者さんのなかにお薬代を払ってくれない方がいます。持ち合わせがないという事でたいていの患者さんは後で支払いに来てくれるので問題ないですが、なかには代金を支払ってくれないまま連絡が取れなくなってしまう患者さんもいます。

薬剤師には原則調剤しなければいけない義務があると思いますが、代金未払いの場合には調剤拒否をすることはできるのでしょうか?

調剤しなければいけない義務とはなにか?

薬剤師が調剤業務に従事する義務を「応需義務」といいいます。
この「応需義務」に違反した場合の罰則は薬剤師法には設けられていません。
しかし、「応需義務」に違反し続けた場合に「薬剤師としての品位を損なうような行為」に該当するとして業務停止等の処分を受ける恐れがあります。(薬剤師法第8条第2項)

調剤拒否は正当な理由があるかないかで判断する

今回のようなケースでは薬剤師にとっての患者に対する信頼度が調剤拒否の懸念となるのですが、これは正当な理由になるのかどうかというところが問題です。

 

理由もなく未払いを続けるなど患者が悪質で未払い額が高額になる場合や、社会通念によりやむを得ないと判断される状況であれば「正当な理由」が認められる場合もあります。
それは、調剤した医薬品の交付が売買と同様として代金の支払いがない患者に対して調剤を拒否できるものと解するものです。

しかし、保険調剤の場合、患者の負担金の支払いがないとしてもそれを「正当な理由」として調剤拒否を判断するのは難しいと思われます。

 

それは、医療に従事する身である以上、国民の生命身体を守るために課された義務を果たすには「正当な理由」がどの程度のものかによるため、よほどの事がない限り社会通念に基づいた個々のケースで判断される事になるからです。

正当性の主張よりもまずは対策を練る

薬剤師は状況をもとに総合判断したうえで調剤を拒む事が正当かどうかを考える必要があります。
しかし、人が個々に持つ道徳、倫理、常識、理念、といった社会通念は様々です。
平等な社会を目指す一方で、どうしても正当性を理解してもらえない場合があります。
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