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副作用が発生したら厚生労働省に全て報告するべき?【法律相談】

腰痛の患者さんに鎮痛剤を投薬したところ、体中に湿疹が出てしまいました。
薬を受け取った際に薬剤師から副作用で湿疹などが出る場合があるので注意してください」と言われたので相談に来たとのこと。医師に診てもらったところすぐに服用中止になりましたが、重大な副作用などではなかったようでした。

薬剤師は今回のように予め想定できたものも含めて、全ての副作用を報告する義務はあるのでしょうか?また重大な副作用が起きてしまった場合に患者さんに伝える事は必要なのでしょうか?

薬剤師には副作用等の報告が義務づけられています。

薬事法第77条の4の2の第2項には副作用の報告についての条例が定められています。
そのため、薬局開設者や薬剤師は、医薬品の副作用などによる健康被害を知った場合、その報告が義務づけられています

この制度の目的は医薬品などの市販後の安全対策を確保することにあり、報告された情報は医薬品の安全対策や医療関係者への情報提供に使われる事になります。

すべての副作用に報告義務があるわけではない

しかし、副作用の報告義務は副作用と疑われるものを知った場合の全てにあるわけではありません。

条例で定められている報告義務の対象となるのは「保険衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるとき」だけであり、具体例としては副作用などで死亡、障害が残るなどの重篤な症例、添付文書からは想定できない未知の症例などと考えられています。

質問の事例では、重大な障害などが残ったわけではなく、湿疹はもともと想定される副作用でしたので報告の必要はありません。

報告をしなかった場合の罰則について

報告義務の機嫌や報告を怠った場合の罰則は特にありません。

しかし、薬剤師の任務(薬剤師法第1条)を考えれば副作用などによる健康被害を知った場合には速やかに報告する必要があるでしょう。

 

また、この制度は医薬品や医療機器を対象としたものですが、厚生労働省は医薬部外品や化粧品についても報告するように医療関係者に呼びかけており、安全対策の観点からこれらについても報告することが望ましいと考えられます。

医薬品副作用被害救済制度

薬の副作用について、もう一つ知っておきたい制度があります。

それが「医薬品副作用被害救済制度」です。

医薬品は適正に使用したとしても、どうしても副作用は起こってしまいます。このような副作用によって健康被害が起きてしまった場合にその被害は被害者1人で負わざるを得ないため、この制度で医療費などの給付を行い救済を行っています。

 

ただし、この制度は全ての副作用による健康被害を救済するわけではありません

この制度が適用になるのは、あくまでも許可医薬品の「適正な使用」によって引き起こされた副作用によるものだけであり、当然ではありますが用法・用量や使用上の注意を守って使用された場合にのみに限られます。

また、副作用によって死亡および入院を必要とする程の疾病、日常生活が著しく制限される程の障害が対象となっており軽微な健康被害は対象となりません

 

その他にも任意に予防接種を受けた際の健康被害、医薬品の製造販売業者などに明らかに損害賠償責任がある場合、対象除外医薬品など(抗がん薬など)による場合は医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。

 

法定予防接種を受けたことによる健康被害に関しては「予防接種健康被害救済制度」が適用となります。

この「医薬品副作用被害救済制度」を健康被害にあった患者さんに紹介する際に注意する事が、この制度は給付の種類によって請求制限もありますのでその旨伝えるようにしましょう。

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